別れさせ屋に依頼をした私の結末
黒髪のウィッグを脱いだ相良くんは、途端に態度と口ぶりを変え、考えなしに動いた私を注意する。
座面に片足を乗せ、曲げたひざに腕をつき、その手で髪をかき上げる。わしゃわしゃと頭をかく仕草からは、苛立っていることが見て取れた。
予定を変更させたと聞いて、それは確かに迷惑をかけてしまったと反省していると、相良くんは大きく「はぁ」と息をつき、怒るのをやめ、小さな声でつぶやく。
「まぁ……そろそろ何か言ってくるとは思ってたから、いいけど」
そう言って、ズボンのポケットから出したスマートフォンを操作し、画面を見つめる。
静かにその様子をうかがう私は、混乱する頭を必死に整理しようとしていた。
――キングは相良くんだった。
この人が沢山のカップルを別れさせてきたってことだよね?
自分と似たタイプの男の子だと思っていたから、信じられない。
でも、あの黒髪はただのウィッグだった。おとなしいタイプではなくて、本当は人見知りなんてしない、私とは真逆の人……。
「あれだろ? 経過報告がないから、どうなってんのか聞きに来たんだよな?」
会うはずだった人と連絡を取り合っているのか、相良くんは親指を動かしながら、私に声をかけてくる。