別れさせ屋に依頼をした私の結末
「うん」

私が来た理由も察しているようだから、話が早いと思っていたのだけれど。

「まだ動いてないんだわ」

相良くんは臆することなく、さらっとそう返してくる。

「……え」

「ま、テスト期間中だったし?」

「そう……だよね」

正当な理由を聞いて、渋々納得する。

そんな私を面白がるように、彼は笑いながら言った。

「勉強なんてしてないけどね。俺、しなくても点数とれちゃう方だから」

「……」

じゃあなんで?

そう心の中でつぶやくと、その声を聞いたかのように彼は口を開く。

「こっちの事情っていうか、とりあえず様子見してた」

「……“様子見”」

悠長な彼に不満が募る。

「あの」

「ん?」

「状況はどんどん悪くなってるから……できれば、早めに動いてほしいんですけど」

やっぱりゲーム感覚で考えられているみたいだから、もう一度真剣に伝えてみよう。そう思って話し始めると、彼は私の顔をじっと見つめ、にんまりと口元を緩める。
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