別れさせ屋に依頼をした私の結末

自分を王様だと思っていて、他人(ひと)の恋愛を平気で壊せる人──そう考えると怖い。

これまでどんな手段で別れさせてきたのだろう。弱みを握っておどした、とか?

何にせよ、100%別れさせているのなら、まともな方法じゃないのは確か。

「……依頼料がいくらなのかもわからないままだし」

SNS上で検索して、別れさせ屋についての話にはほとんど目を通したけれど、誰も依頼料について話していなかった。

わからないことだらけで不安が募る。

「今更、キャンセルなんてさせてもらえないかも」

会えば、別れさせ屋が誰なのかもわかってしまうわけで。

相手からすれば、正体を知られた後で「やっぱり辞めます」と言われても、納得はできないはず。

なら、正体を知ってしまう前にキャンセルすれば──と考えてみたが、こちらのクラスと名前はDMで送ってしまったし、冷やかしで連絡したと悪い印象を与えてしまうのも怖い。

悩んでいたとはいえ、どうして連絡してしまったのだろう。

私はスマートフォンを握りしめたまま、八方塞がりなこの状況にため息をついた──その瞬間、
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