別れさせ屋に依頼をした私の結末
「……言いたくない」

美奈の表情が険しくなる。

張り詰めた空気の中、私はそんな彼女の横顔を見つめ、ひと言問いかけた。

「寺尾たちには言えるのに……?」

聞きながら思う。言えなくしたのは私なのに、って。

美奈が寺尾たちにしか言えなくなってしまったのは、私があのとき聞かなかったからだ。

なのに、今、私……寺尾たちにしか言わない美奈にもどかしさを感じている。

私の言葉に美奈の表情はどんどん曇っていく。

沈黙の末、彼女は目をぎゅっとつぶった。

「マチだけには……言いたくない」

「っ……」

胸の奥がズキッと痛む。

“だけには”

それは、寺尾たちだけじゃなく、他の人にも話そうと思えば話せるという意味にもとれて。

私ひとりを拒絶しているように感じた。
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