別れさせ屋に依頼をした私の結末

目を合わせてもくれない美奈を見つめ続けることがしんどくて、これ以上、かける言葉も見つからなくて……。

「わかった」

そううなずくしかできなかった。

リュックを持って、美奈を置いたまま教室を出る私。

ドアを開けた瞬間、

「あっ……」

私に気づいてそう声を漏らし、しゃがんでいた態勢から立ち上がる寺尾を見かけた。

どうやら、美奈は私と話し合う間も、寺尾を廊下で待たせていたようだ。

「っ……」

どっちが親友なのかわからない。

そもそも、親友だと思っていたのは自分だけなのかも。

悔しくて、情けなくて、私は寺尾から目をそらし、渡り廊下があるほうへと歩みを進めた。

自然とそっちへ足が向いていた。

だって、私のこの気持ちを知っているのは、彼しかいないから。


階段へと歩きながら、これから向かうつもりの西館3階の図書室に目を向ける。

「……え」

向けたと同時に、窓にもたれて背にある北館のこちらを見ていたキングと目が合う。

彼は、私が気づいても、その表情を変えず、まっすぐ見つめてきた。

「っ……」

涙腺が緩む。

涙がこみ上げると共に、私の足は駆けだしていた。
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