別れさせ屋に依頼をした私の結末
名前の確認にこくりと頷くだけだった彼は、すぐさま自分の斜め後ろを指で差した。
「お友だちが探してましたよ」
差した先にあるのは、書籍が隙間なくびっしりと並べられた本棚だったが、多分、彼は図書室の外の話をしている。その方角にあるのは北館の教室だ。
「友だち?」
「松山さんです。どこに行ったんだろうって、廊下で」
「え、ウソ……今日は別々で帰ろうって言っておいたんだけど」
松山 美奈(まつやま みな)、2年D組の学級代表をしている私の親友だ。
スマートフォンを操作してメッセージアプリを開いてみると、なんと、本当に美奈からの連絡が4件も届いている。
どれも、ホームルームの後の、私が図書室に到着する前に送られているものだった。
別れさせ屋を待たせないようにと廊下を走っていたから、スマートフォンが震えていることに気づけなかったのだと思う。