別れさせ屋に依頼をした私の結末

「タイミングぴったし」

突然、ボソッと小声で囁かれた。

「……え?」

なんのことかわからず、ちらりと横目でキングの顔を見る。

彼の目は私じゃなく、私の背後に向いていた。

その表情は、昨日のキスをした後のように意地悪なもので。

そっちに何かあるのだろうか。気になって見ようとすると――

「水城?」

聞き覚えのある声が後ろから聞こえてきた。

「……っ!」

驚いて、火照っていた顔の熱が一気に冷めていく。

キングは声をかけられたと同時に態勢を戻していた。

「……なんで」

そうたずねても、彼は微笑むだけで答えてくれない。

待たせるわけにもいかず、恐る恐る振り向くが、そこにいるのは――

「っ、美奈……」

岡垣くんだけじゃなかった。







< 77 / 247 >

この作品をシェア

pagetop