別れさせ屋に依頼をした私の結末
「あ、じゃあ、次に会ったときなんて言えばいい? “3年生”と言っていいの?」

明日以降、岡垣くんに会ったときのことを考える私。

でも、キングは、面倒くさそうな態度で言う。

「わざわざ言わなくても。聞かれたらそれなりに返せばいいんじゃね?」

深く物事を考えていないみたい。

だから、あんなことを言っちゃうんだな……。

「“今いい感じだ”とか、テキトーなこと言いすぎ」

文句を言っても、キングは何も返さず、校門へと歩いていく。

隣に並ぶ私は、もうひとつ、引っかかっていることを思い出していた。

“タイミングぴったし”

あれって、ふたりが来るタイミングでキスをしたことを差している言葉だよね?

そういえば、キスする前も、ふたりが来た方角ばかり目を向けていた。

「……なんで、見せたの?」

何か考えての行動だとしても、あんなところ見られたくはなかった。

「私の気持ち、知ってるよね?」

「……水城」

「今はもう好きじゃないけど、それでも――」

キングの声を無視して文句を言い続ける。

けれど、校門を出てすぐのところで、キングに腕を引っ張られた。

「ちゃんと聞いて!」

人の話を全く聞かない彼から、歩くのも邪魔されて、苛立った私は声を荒らげる。

すると、彼は苦笑いを浮かべ、道路の先へと視線を向けた。見て、というかのように。

「話は後で。……今、ピンチだから」

「“ピンチ”……?」

道路の先には、他校の制服を着た3名の男子がいた。
< 81 / 247 >

この作品をシェア

pagetop