別れさせ屋に依頼をした私の結末
学校のフェンスにもたれていた彼らは、待ち伏せていたというかのように、キングを見つめながらこちらへ歩み寄ってくる。

「や~っと見つけた」

真ん中に立つガタイのいい男が微笑みかけてくるが、その目はちっとも笑っていない。口ぶりからも憎しみのようなものを感じてしまう。

「この前は上着もネクタイもなかったから、探すのに苦労したわ」

先にピンチと聞いていたことで、この人たちとキングの関係を察することができる。

見つかってピンチってことだよね。探されていたってことは、逃げていた相手ってこと?

約20センチほど上にあるキングの横顔は、平静さを失ってはいないけれど、いつもの余裕さはない気がする。

真ん中の男はチラッと私を見る。

「もう別の女連れてんの?」

“別の女”。……どうやら、私を“彼女”だと思っていそうだ。

他の女の人を通じての知り合いなのかな。……元カノ、とか?

「俺が誰だか覚えてるだろ?」

この質問で、キングはやっと口を開く。

「誰だろ。特徴がない顔だから、覚えてないな」

……うわ。

“ピンチ”と言っていたくせに、しっかり、相手を見下すような返しをしていて。

心配していた私は、呆れながらも、ホッと胸を撫でおろす。
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