別れさせ屋に依頼をした私の結末
曲がり角を曲がってすぐの路地、青信号が点滅し始めた横断歩道。

相手を振り切るためにとキングが選択する道は、ついていく私にとっても大変で。

「も……、無理っ……!」

歩道橋の階段を下りたばかりだというのに、またすぐに坂道を上りだしたことで、一気に息が上がってしまう。

「体力ねぇなー。いいダイエットになるはずだから、頑張って!」

「し、失礼過ぎない!?」

速度を落として走っていそうな彼は、後ろを確認しつつ、フラフラの私を見て笑っている。

どれくらい走っていたのだろう。

絶対に追いつかれてしまう。そう思っていたのに、相手の男たちの姿はいつの間にか見えなくなっていた。

知らない住宅街を抜けて、商店街が見える狭い路地で、キングはやっと足を止めた。



「ほら」

そこのコンビニで買ってきたという水のペットボトルを手渡される。

疲れてしゃがみ込んでいた私は、受け取った水にすぐに口をつけた。

一気に半分飲んだところで、少し離れた場所にいたキングを見ると、彼はスマートフォンを耳に当てて誰かと通話をしている。

「――ああ、その動画だな。画像も何枚かあったはず。……そう、それ。悪いけど、今から全部送ってもらえる?」

キングは話し終えてからも、スマートフォンを触り続け、用事が終わってこっちを向く頃、私はもう落ち着きを取り戻していた。
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