別れさせ屋に依頼をした私の結末
――そのあと、駅へと続く商店街を歩いている最中、キングは話してくれた。本当は、今日学校帰りにそのまま、私を連れて遊園地へ行くつもりだったことを。

「今、業者が来ていて、体育館が使えないだろ?」

「ああ、照明の点検だっけ」

「それで今日は、バレー部も部活が休みなんだよ。それを知ってかどうかはわかんねぇけど、昨日マツヤマはオカガキに連絡をして、遊園地へと誘ってる」

岡垣くんがあの時間に帰っていたことや、珍しくふたりが肩を並べていた理由がわかって、頭に残っていた小さな疑問が解消される。

それにしても、毎度のことだけれど、その情報はどこから入ってくるのだろう。

聞いたってどうせ答えてくれないだろうから、もうたずねたりはしないけれど、接点がないはずの相手のことをそこまで知っている彼を少し怖いと思ってしまう。

「最近はオカガキから連絡があっても出ていなかったはずなのに、突然遊園地へ誘うなんて変だろ? 行ってどう動くつもりなのか、この目で見ておこうかなと思ってさ」

「え……、連絡にも出てなかったの?」

キングは私が知らない情報まで手にしている。

「……“遊園地”か」

そこは、ふたりにとってゆかりのある場所。

幸せそうな彼女を思い浮かべてしまう、私にとっては苦い記憶にある場所だった。
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