別れさせ屋に依頼をした私の結末
遊園地までは、学校の最寄り駅から快速電車に乗って4駅。

駅から歩いていると、度々、大きな土産袋を持った家族連れや、私服姿のカップルとすれ違うので、改めて、来る時間の遅さを実感した。

「やっぱ、もういねぇかもな~」

平日な上、時刻も19時近いということもあり、園内では人が少ない。

人気のアトラクションなどや土産ショップを見て回ったが、広くてすれ違っているのか、美奈たちの姿を見つけることはできず、暗がりだと人の顔を確認すること自体が難しい。

「せっかくだし、帰る前にあれ乗ってく?」

探すことを諦めたキングは、背後の空を見上げる。

視線の先にあるのは、ずっと見ないようにして歩いていた乗り物。ライトアップされて、花火のように大きく咲いている大観覧車だった。

「足、痛いんだろ? あれなら景色も楽しめるし、少し休憩してこうぜ」

歩き疲れていることに気づかれていた。この誘いは、私のことを気遣ってくれているからなのか、それとも……。

勘ぐってしまうけれど、本当に足の裏が痛くなってて歩くのはつらい。

それに、薬局でお金を使ってしまったことで、入場料も払ってもらっている分、乗り物への誘いを簡単に断ることもできなくて、私は仕方なくこくりとうなずいた。
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