別れさせ屋に依頼をした私の結末
微笑みかけると、キングは目をそらし、もう一度窓の外を見る。

そして、景色を眺めながら――

「“100%別れさせる”ってやつ」

学校で流されているウワサについて話し始めた。

「俺は神様でも仏様でもないただの人間だし、相手にするターゲットも人間。……思い通りにならないことばっかだよ。100%なんかじゃない」

時折り見せる真面目な表情だった。

「だから今回も、水城の思ってる形にはできないと思う。……でも俺なりに、水城が望んだ結果に近づけるつもりでいるから。……全部、そのための行動だから」

彼はまだ、キスを見せたことについて話しているのだろうか。

私は「わかった」と言ったのだから、「今はまだ言えない」で終わらせればいいものを……。


今日は曇っているせいか、空に近づけても星なんかひとつも見えなくて、地上にいるときと同じように月明かりにしか触れられない。

「この観覧車ね、岡垣くんと美奈が付き合った場所なの」

キングの不器用さに感化された私は、言わないようにしていた話を口にする。

「どうせこれも知ってるんでしょ? 知ってて、ここに誘ったんじゃないの?」

「……いや、その話は知らなかった」

私の反応を見るためにとはかられているような気がしていたけれど、これに乗ったのはただの偶然だったみたい。
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