クールな君の甘さを知れば
私たちの日常
「なるちゃんなるちゃん、大変だよ」
「………」
「課題がね、ぜんぜん終わらないの。エマージェンシーなの」
「………」
わあ、驚くほどに無表情あんど無口。
みなさんこんにちは、こんばんは、おはようございます。
今年から花の女子高生になった古賀海琴、16歳です。
突然の自己紹介から始まってびっくりしてるかもしれないけど、ちょっと今それどころじゃないからごめんね。
とにかく今は、目の前でひたすら漫画を読んでる幼なじみのなるちゃんこと九条成海くんに助けを求めなければ。
にじりにじり寄っていき、なるちゃんの背後に回って耳元に顔を近づける。
「手伝ってくれたら、新発売のチョコミントアイス半分あげるよ?」
「半分かよ」
あ、やっと喋ってくれた。
振り返りざまにジト目でこぼすなるちゃんに、にししって笑う。
「冗談だよ。全部あげるから教えて」
「……はぁ。どこ?」
そしたらじっくり読んでた漫画を閉じて、すぐに切り替えてくれたなるちゃん。
うん、やっぱりこういうところ大好き。
「えへへっ。ありがと、なるちゃん。大好き」
「知ってる」
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