クールな君の甘さを知れば
「なんでわざわざここに…あ、もしかして急用があったりした?」
今朝は何も言われなかったし、普段通り下駄箱で待ち合わせするんだと思ってたからびっくり。
何か私に用事があったのかもしれない…と思ったから、私なりに考えて聞いてみるけど。
「…用がないと来たらダメなわけ?」
「へっ…」
あからさまにムスッとした顔をして、拗ねてしまったなるちゃん。
「暇とか決めつけんな。俺よりこいつの方が大事なのかよ」
な……なるちゃんが、変。
昨日からなんとなーく違うなぁと思ってはいた。
でも……これはさすがに、変すぎるよ。
まだ教室に残っているクラスメイトたちもざわつき始め、穂乃果ちゃんも心配そうにこちらを見守っている。
と、とりあえず逃げよう…!!
「ちょっ、なるちゃんこっち来て…!杉本くんごめんね、また明日…!」
「お、おぉ…」
目を丸くして固まっていた杉本くんにも一応謝り、なるちゃんを引っ張って下駄箱へと歩き出した。
「ね、ねぇなるちゃん。一体どうしちゃったの?らしくないよ…?」
「………」
出たな、なるちゃんお得意のだんまり攻撃。