クールな君の甘さを知れば
とりあえず、誰もいない家の鍵を開けて、洗面所に行き手を洗う。
それから、私専用のコップとなるちゃん専用のコップにジュースを入れて計二つのコップを手に持ち、自分の部屋に向かった。
そんなに長くいないかもしれないけど、一応ね。
あと、なるちゃんの好きなチョコミント味のチョコレートも用意した。
ドアを開けて、飲み物とお菓子をセットした後、カバンを勉強机に置いたら準備完了。
これで、なるちゃんがいつ来ても大丈夫。
………大丈夫、だけどね。
「おぉ…心臓、ばくばくしてる…」
これまでの人生で一番緊張してるよ、今。
胸に手を当てると、バクバク鳴ってるのがわかる。
何に緊張してるのか、私自身が一番わかってないのに…。
はぁ…これはもう、なるちゃんに責任とってもらうしかないね。
私を緊張させた刑。
何してもらおう…とか考えてたら、コンコンって二回ノックされて無意識に肩が跳ねる。
なるちゃん、もう来たんだ…。
まだまだ心の準備ができてないけど、ここで「ちょっと待ってて」なんて言えるほど肝が据わってるわけではないので。