クールな君の甘さを知れば
知ってる、だって。
ちょっとカッコいい風に言ってるけど、なるちゃん耳が真っ赤っか。
なるちゃん、隠せてないよ?
私より二歳も年上なはずなのに、ぜんぜん先輩っぽくないね。
って言ったら怒られるから言わないけどね。
「…なにニヤニヤしてんの?」
「ひみつー」
「ふーん…」
なるちゃんの部屋に二人っきり。
言い換えたら、男の子の部屋に二人っきり。
年頃の男女が密室に二人っきりの状態。
何も起こらないはずがなく…ってのは、一切なくて。
私たちはよくある幼なじみってやつ。
小さい頃から、気がつけば隣になるちゃんがいた。
家がお隣で両親同士も仲が良く、家族ぐるみのお付き合い。
小学校も中学校も、高校だってぜーんぶ同じ。
何か用事がある日以外は、いつも一緒に登下校。
でも、こう見えてなるちゃんの方が二歳も年上なせいで、中学校に入っても一年しか一緒にいられなかったんだ。
それは中学校に限った話じゃなくて、高校もそう。
やっと追いついたと思ったら、なるちゃんは来年には大学生になってしまう。
「………と。海琴」
「んえ?」