クールな君の甘さを知れば
なるちゃんの大きな体が小さく震える。
それに気づかないフリをして、もっと強く抱きしめた。
「なるちゃんの…心の真ん中が、知りたいよ」
これは全部、私の本音。
なるちゃんがおかしかった理由を、ちゃんと知りたいだけ。
…ただ、それだけなの。
そう言ってから、なるちゃんの言葉をじっと待つ。
あ、よかった……伝わったんだ。
そして、やっと顔を上げてくれたと思って安心していたら。
「…それ、本気で言ってる?」
「へっ…?」
瞬間、世界が傾いた。
……いや、違う。
「俺の心の中、本当に知りたい?」
目の前に、なるちゃんの綺麗なお顔。
覆いかぶさったなるちゃんに見下ろされて、私が押し倒されたのだとようやく理解した。
なるちゃんと話し合う前は、心臓がバクバクしてとっても緊張していたけど…あんなのはまだ可愛い方だった。
「それは…どういう、こと……?」
バックンバックン、跳ねるように脈が飛ぶ。
いつものクールな幼なじみは、私の知らない顔をしていて。
「…もう、幼なじみやめたいんだけど。海琴を彼女にしたくてたまんない」
熱の篭ったその瞳が、真っ直ぐに私を見つめていた。