クールな君の甘さを知れば
あ、やばい。全然聞いてなかったかも…。
「…頼んだ以上は真面目にやれ。やらないならとっとと帰って寝てろ」
なるちゃんのいつもより冷たい声。
なるちゃんは普段めったに怒らないけど…今日はいつもより機嫌が良くないのかな。
真横にいるなるちゃんの声が、ちょっと本気なトーンで焦る。
「ご、ごめん。ちゃんとやる。お願いします」
これは100パーセント私が悪いから、その場で土下座。
「…はぁ」
流れるように頭を下げると、なるちゃんがため息ついちゃった。
あれ…もしかして、余計に怒らせちゃった?
ふざけてると思われたのかもしれない。
私なりの誠意を見せたつもりだったけど、謝っとけばいいと思ってる、みたいに解釈されたのかも。
や、やだ…なるちゃんに嫌われたくない…!
「ご、ごめっ…」
絶交宣言される前に慌てて頭を上げたら、顔をぶにゅっと潰された。
目の前になるちゃんのカッコイイお顔があって、真顔でじぃっと見つめられる。
えぇっと……??
「な……なるひゃん…?」
なるちゃんの行動が意味わからなくて、私もじぃって見つめてみる。