クールな君の甘さを知れば
だから私は、人に囲まれながらもこっちに来ようとするなるちゃんに向けてジェスチャーをした。
『私は先いくから、なるちゃんは後で来て!』
私の完璧なジェスチャーに口パクを添えれば、さすがに気づくはず…!!
長谷川くんも言ってたように、私たちは伊達に幼なじみやってないもんね。
穂乃果ちゃんと長谷川くんに「バイバイ」ってして、ササッと廊下に出たら。
「おい、逃げんなバカ。迎えに行くっつったろ」
どことなーく…いや、思いっきり不機嫌MAXなるちゃんに肩を掴まれてしまった。
「ひぇっ!?」
な、なんでこっち来ちゃうの!?
廊下に集まっている女子たちの目が痛いのなんのって。
でも、なるちゃんはそんなことお構い無しで普通に話し続ける。
「ひぇっ、ってなんだよ。俺は不審者か何かか」
「ちっ、違うよ…!後で合流しよってジェスチャーしたでしょ!!」
「ジェス……あぁ、あの変な動きのこと?あれジェスチャーだったのかよ」
まさか気づいてなかったの…?
「あと口パクもした!」
「わかるかボケ」
私のジェスチャーと口パクした意味…!!!