クールな君の甘さを知れば
幼なじみの本音
「あ、なるちゃんちょっと待って。忘れ物したかも」
「二日連続」
「ごめん、ダッシュで見てくる」
「急がなくていいから転ぶなよ」
なるちゃんが手伝ってくれたおかげで課題も無事に終わり、次の日になった。
今日は火曜日。
憂鬱な月曜日は過ぎ去ったものの、学校が憂鬱であることに変わりはない。
「お待たせ」
「もう忘れもんない?」
「うん…っていうか、忘れてなかった」
「アホ」
「ごめん」
いつもみたいに私の家の玄関前で待ち合わせして、いつもみたいに登校する。
なるちゃんの仏頂面はご愛嬌。
隣に並んで、片道約二十分の距離をのろのろ歩く。
なるちゃんなら十分で着いちゃう距離も、私に合わせてのろのろ歩いてくれるの。
優しい、イケメン、高身長。
成績優秀、スポーツ万能の王子様。
これで愛想が良かったらオールパーフェクト。
昔から告白されることが多かったなるちゃんだけど、無口あんど無表情男だからね。
怖がる女子もけっこー多い。
私には幼なじみのよしみで、昨日みたいに笑うこともしばしば。
なんだかんだ言って優しいのは、昔から何も変わらない。