クールな君の甘さを知れば
「ねぇねぇなるちゃん」
「…なに?」
「彼女とかさ…実はいたりするの?」
「は……?」
あらら、なるちゃん鳩になっちゃった。
鳩が豆鉄砲を食らったような顔って、こういう顔のことを言うんだろうな。
なるちゃんの目、まん丸。
「…いないけど。なに、急に」
でも、すぐにいつもの顔に戻ったなるちゃんは、訝しげな表情で私を見てきた。
「んー…なんとなく?」
「…お前のそのクセ、いつ治るんだろうな」
呆れ顔のなるちゃんも、実は好きだったりする。
なるちゃんの色んな表情を見れるのは、幼なじみの特権ってやつだ。
「…海琴は?」
あともう半分歩けば学校に着くくらいの距離。
ちょうど信号機が赤になって立ち止まったら、なるちゃんが少し真面目な雰囲気で聞いてきた。
なるちゃん、主語と述語って知ってる?
私は文法とかあんまり得意じゃないけどさ、それくらいはおバカな私でも知ってるよ。
「ちゃんと言ってくれなきゃわかんないよ?」
だからそのまま思ってることを聞いたけど、なるちゃんの眉がぎゅって寄った。