クールな君の甘さを知れば

最後には可笑しそうに笑った長谷川くん。



長谷川くんが急におかしくなった理由も、なんで腑に落ちてなさそうなのかもわからなかったけど。



…まぁ、いっか。



具合が悪いとかじゃなさそうだったし、たぶん誤作動を起こしちゃったんだろうなぁってことにして。



美味しい美味しいなるちゃんのお弁当を、心ゆくまで味わった。







「えっ、長谷川くんに言っちゃったんだ」



穂乃果ちゃんの驚いた声とひきつった頬。



「“言っちゃったんだ”…って?ダメだった?」



首を傾げる私の瞳を「嘘でしょ」というふうに見つめながら。



「う、ううん…全然、そんなことない…けど」



なんて、歯切れの悪い返事を返した。



放課後の誰もいない図書室。



今日出た数学の課題を一緒にやりつつ、穂乃果ちゃんに昼休みにあったことを話し終えたところなんだけど。



「…そっかぁー」



…なんか、穂乃果ちゃんが変。



それは今始まったことじゃなくて、今朝の延長線上って感じ。



長谷川くんとなるちゃんの話題を両方出した時に限っておかしくなる。



妙にソワソワしているというか、なにか気にしてるみたい。
< 62 / 77 >

この作品をシェア

pagetop