クールな君の甘さを知れば
隣の穂乃果ちゃんの目がパチパチパチ。
なるちゃんの態度にびっくりしてるけれど、それは私も同じ。
「っ…そ、そう…」
友達の前で改まって言われると、恥ずかしいことこの上ない。
ぶわっと広がった熱が頬に集まっていく。
ひ、人前で何言っちゃってるのなるちゃんっ…!!
そういうのは2人のときにしてよ…!!
なんて言えるわけもなく。
「ほ、ほらもう帰ろ!ごめんね穂乃果ちゃんっ!また明日〜!」
素早く上履きからローファーに履き替えて、なるちゃんの背中を押した。
「あ、う、うん。また明日…」
穂乃果ちゃんは未だにぼーっとしている模様。
うぅ…今の記憶、穂乃果ちゃんの頭の中から消去できないかな…無理かな…。
そんなこんなで校門をくぐれば、ずっと私に押されていたなるちゃんがくるりと半回転。
「いつまで押してんだ」
なるちゃんお得意の仏頂面が見えて、なんだかほっとする。
「へへっ、ごめんごめん。ついうっかり」
恋人になったからって、今までの関係がガラリと変わったわけじゃないんだ。
幼なじみっていう区切りから一歩踏み出したような、そんな関係。