クールな君の甘さを知れば

｢…勘違いしてもいいんなら、するけど｣



｢そ、それは…｣



…早い気がする。



こんなに近くでなるちゃんの鼓動を感じちゃったら、もう｢うん｣なんて気軽に言えないよ。



それくらいなるちゃんが私のことを想ってくれてるんだって改めて実感した。



この気持ちが全然違うものだったら、なるちゃんを傷つけることになる。



ちゃんと絶対に“好き”って思えるまでは、軽々しく言っちゃダメ。



｢…まだ、わかんない｡ごめん｣



だから、首を横に振った。



なるちゃんがどんな反応をするのか怖くなって、なかなか顔を見れずにいると。



｢ふっ…わかってるから、それくらい｣



いつもの優しい笑みを浮かべるなるちゃんが、目じりを下げてそう言った。



まるで、小さな子供に語りかけるみたいに。



｢ゆっくりでいい。ちょっとずつでいいから、俺を男として見て。海琴ん中を…俺でいっぱいにして｣



｢っ…｣



なるちゃんの一言一言が、私を貫いていく。



頭を撫でてすく手つきが壊れ物を扱うみたいに優しくて。



…もう、とっくになるちゃんの手中なんだけどな。