クールな君の甘さを知れば

ゴツゴツした細い指先とか、私を抱きしめる腕の強さとか。



そういうの全部、「男の人なんだ」って感じさせられる。



本当はとっくのとうに、目の前のなるちゃんのことで頭がいっぱいなんだって…そう言ったら、どんな顔するのかな。


「…そろそろ帰るか」



「あ…う、うん」



喉まで出かかった言葉を飲み込む。



危ない危ない…またなるちゃんに怒られるところだった。



私がこくりと頷くと、なるちゃんの手がぱっと離れて距離ができた。



…なんか、ちょっと寂しいかも。



名残惜しそうに離れていくなるちゃんが少し可愛く見えちゃうのは…まだ触れていたいって思うのは…気のせい…?



…また、怒られちゃうかもしれないけど。



そのまま歩き出すなるちゃんの背中を追いかけて、クイッと袖を引っ張った。



「…海琴?」



なるちゃんが不思議そうに私を見下ろす。



どっくんどっくん、心臓が大暴れ。



ここまできたら、もう言うっきゃないよね…?



「手…とか、繋ぎませんか…」



勇気を振り絞った会心の一言。



な…なにこれなにこれっ…恥ずかしすぎ…っ!



言った瞬間、私の中の全羞恥心が騒ぎ立てる。
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