クールな君の甘さを知れば
しかも、挙句の果てには…。
「知らね」
とか言う。
「…なるちゃんが聞いてきたくせに」
「海琴がバカなせいだろ」
極めつけにはまさかの「バカ」。
酷いと思いません?
わからないから「わからない」って言っただけなのにね。
「なるちゃんのおバカ」
「こっちのセリフ」
そんな言いあいっこしてたら、いつの間にか学校が目の前にあった。
「なるちゃんバイバイ」
「ん、また放課後」
三年生の下駄箱と一年生の下駄箱はちょっと離れたところにあるんだ。
しかも真反対。
私たちは玄関に入って反対を向き合ったら、そんな言葉を交わしてお別れする。
それで、放課後になったらまたここで待ち合わせ。
たまに教室に迎えに行ったりもするけど、なるちゃんファンの女の子たちが尋常じゃないくらい見てくるからあまりしない。
こんな私でも、一応そういう恐怖心はあったりする。
昔…中学校に入ったばかりの頃だったかな。
先輩の女子軍団に囲まれて、体育館倉庫に閉じ込められちゃったことがあって。
それ以降、女子同士のいざこざはちょっとトラウマ。