クールな君の甘さを知れば
きゅっと固く結ぶばれた唇が、とても悲痛に映った。
「…告ったらあいつ、困るだろ」
ボソッと零れた一言。
「今も幼なじみのことで頭いっぱいいっぱいにしてんのに、俺のことまで考えさせたら…そのうち絶対にパンクする」
ぽつりぽつりと話す長谷川くん。
「マイペースのくせして、実は大真面目。きっと俺が告白なんかした日には、悩んで悩んでキャパオーバーして、熱でも出すに決まってる。そんなん考えたら…できるわけねーよ」
あの子のことを話す声の温度が、瞳が、どこまでも温かい。
「…古賀を困らしたくないんだよ」
「っ…」
息を、呑んだ。
この人はこんなにも優しい人なのかと。
自分のことより相手のことを思って、心配して。
気まずくなるとか、今の関係を壊すのが怖いとか。
そういうのに怯えてるんじゃない。
好きな人のことを大事にしたいと思う、ただ一点。
それだけを考えている人。
「…ま、そういうことだから」
…私、でしゃばって何してるんだろ。
長谷川くんみたいなちゃんとした恋なんてしたことないのに、あんなこと言って…本当、お節介すぎる。