逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「そ、そういうことだから」
 汗が滲んできた。
「みんなで面倒を見てやってくれ、しばらくの間だ」

 と言うと逃げるように廊下へ出た。

 頭を掻いてぶつぶつ何かをつぶやく。
 突き当りの角を曲がってから、
「さてと」
 顔を上げた。

「これから、どうするかだな」

 不明な事態が幾つかある。それがどう繋がっているのか。
 王宮が抱える問題もある。
 そして、一番の問題は自分の職務の残り時間だった。この状態でいったい何が出来るのか。

 コツコツコツ・・、足音が廊下に響いていた。
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