逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 その日から、アーロン邸では高価な食器が数限りなくゴミになり、家具が原型をとどめないほど壊れていった。
 そのたび家人の怒鳴る声が響き、ワイトは訳が分からず倉庫へ馬小屋へと逃げて行った。

 ただ、屋敷で飼っている犬が不思議なものを見るように眺めている。
 最初はワイトを威嚇していた。
 だが次第に何かに懐柔されるようにおとなしくなった。

 そして尻尾を振るようになっていた。


           
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