逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ

洞窟の奥に

　周囲を見渡して足音を忍ばせる。

　ヴェンは洞窟の裏まで来た。
　何度もそこ(・・)へ行こうとした、しかし入口が見つからないのだ。

　あの日、ソフィーと侍女が言っていた、
『向こうの洞窟の人達のことがこっちに知れたら厄介だわね』
『はい、その逆も言えるのですが』

　今、彼女らにまともに聞いても答えてくれないだろう。

　あのときソフィーは負傷兵らの脇を抜けて奥へ向かった。

　その奥へ行こうとした。
　だがそのたび袋小路に阻まれるのだ。