逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「それが、その『絶対権限』というものですか」
 シュテルツも聞いた。

「そうだ、王子は大喜びしたんだぞ。一つだけ望みがかなうなら何にしようかとはしゃいでな」

 アーロンが冷たく睨んでいる。
 王は困ったように目を伏せた。困りながらもペンを取った。そして『絶対権限』の書状を書き始めた。

 アーロンが面倒そうに手にした。
 受け取ったことで王は笑った、ほっとした笑いだった。

 シュテルツは声もなくそれを見ていた。
 呆れはてた顔をしていた。


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