逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「戻りたくなる時があるな、あの頃に」
「恐いもの知らずだったな、それで突っ走って行けたんだ」

 申し合わせたように窓を見た。
 白い蝶が飛んでいた。
 訪れた春を愛でるようにヒラヒラ舞っている。
 
 廊下のワイトが呆れたように、
「たそがれているねぇ、二人とも」

 と、次の瞬間、
「そうか、そうだったのか、若くなりたいのか」
 ひらめいたように笑った。

「心得た! だったら任せてくれ、望みを叶えるぞ」
 

           * * * * * 
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