逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 ワイトの顔が輝いた。
「大人になればいいのか」
「なれる訳がないだろう。急に背を伸ばすなど、無理だ無理! そんなことが出来る訳が」
 といいかけたアーロン、その目前でワイトが体をグーッと伸ばして見せた。
 
 頭が天井まで伸びている。

 あの、最初に見た廃墟での不気味な光景を思い出した。
「やめろ気持ちが悪い。どうしてそんなことが出来るんだ」

 シュテルツが絶句してのけぞっている。

 ワイトは我関せずで、
「俺だって、ただ背を伸ばすだけじゃ駄目なことは分かっている。だったら大人に変身すればいいんだろう」 

「変身だと?」
「うん。それならいっちょやってみるか、歳の交換を」

「歳の交換だと」
「そうだ。お前と俺の交換だ」

 ワイトが笑った。
 したり顔で片目をつぶってみせた。
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