逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 どれだけ時間が経っただろう。

 二人は部屋の中央に倒れていた。

「・・っ!」
 シュテルツが絶句してそれを見ている。

 アーロンはふらつく体で起き上がろうとした。
 
 ワイトは頭を押えてブルッとかぶりを振った。

 そんな二人は・・。
 少年だったワイトは、青年の体になっていた。三十ほどの男がそこに横たわっている。
 部屋には他に誰もいない。その白い体からワイトであることがうかがえた。

「ど、どうしたんだ? その体は、いったい」
 アーロンが狐につままれたように言う。

 ワイトは大儀そうに上体を起こすと、
「お前だって見てみろよ、ほら、自分の体を」
「え?」

 言われて手や足を見た。
 何も変わったことはない、ように思えた。

「そうじゃない、鏡を見てみろってんだ、ほらそこの」
 促されて鏡に近づく。
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