逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 皆が大扉に注目する。
 だが入ってきたのは宰相のシュテルツだった。

「ハインツ閣下は? アーロン様はどこにいらっしゃるのですか」

「一同の方々、落ち着いて聞いていただきたい。不測の事態が起こったのだ、アーロンは突発的な事情で出仕できなくなったのだ」

 ええっ、とどよめきが起こる。

「だが彼に代わる人物がいる。信頼するに足る者だ」

「代わる人物ですと? 誰なのですか、その者とは」
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