逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 凛とした声に皆が静まった。グリンドラ王までが聞き入っている。

 その中で視線をさまよわせる者がいた。
 会場の隅にいたケイネ伯だった。

「し、しかし皆さん!」
 とっさに声がでた。

「これはあまりに軽率ではありますまいか。一国の命運をこの若造に託すというのですか。しかもだ、彼は今日来たばかりの新参者だ、これは無謀だと考えますが皆さんの意見はいかがなものか」

 一石を投じた感があった。
 会場がざわつく。
< 133 / 477 >

この作品をシェア

pagetop