逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「そうだ、騎馬隊ならわずか三日だ。しかし彼らが本体と離れて先に攻撃してくるだろうか。わが国の本拠地を襲うなら総力を挙げてくるはずだ、分散して来ることはあり得ない」

 それならばだ、と語調を変えた。
「人員と装備を揃えるのに数日かかるとすれば、奴らが王都に到達するのは十数日後ということになる。だが状況はその都度変わる。斥候と哨戒の報告を密にすることだ」

 策を立てながらアーロンの脳裏に一つの懸念があった。

 バッハスが来るだろう山越えの動線上に、ソフィーがいる洞窟があるのだ。
 しかし洞窟は山の中腹で、バッハスは低地を通るはずだ。高低差で交わることはないはずだ。

 だがしかし、一抹の不安がよぎった。


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