逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 ・・と、
「つき合うだと? いったい何の話だ」
 ア―ロンだった。

「ワイトだよこいつは、あのときの白い不気味な生き物だ」
「不気味だって? 結局彼女はそれで助かったんだろうが」

「まさか、あの廃墟の、あの時の?」

「そうだよ、その白い物体だ」
 おどけるように自分を指さした。

「しかしけしからん、ソフィーを力づくでものにしようなどと」
 急に怒りだしたかと思えば、
「いや、食指が動くのは分かるんだ、こんな美人を目の前にしたらな」

「おいっ」
 ア―ロンが睨んでいる。

「いいじゃないか恋愛は自由だ、そして突然ときめいて来るものだ」
「恋愛だと? 突然ときめくだと? いったいお前は」
「そんなムキになるなって、ちょっと言ってみただけだ」
 ワイトはニヤリと笑い、アーロンは憮然と睨む。

 どこまで本気なのか、話の本人を置き去りにやり合っていた。
 
 ソフィーがはっとした。
「あの、ときの?」

 あの方はアーロン様の息子で、アーロン二世でしょう。
 あのときはあそこにいなかったはずよね?

 なぜそれを知っているの?


          * * * * *
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