逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「だったらどうするんだ、この堰は作戦で最も重要だぞ」

 保守兵がうつむき、誰もが困惑して互いを見ている。沈黙が続いた。

 それを破ったのは、
「では、俺が行ってみましょうか」
 デイズだった。

「あ、デイズは無理よ。脚の傷が完全にふさがってないでしょう、水に入ったら化膿するかもしれないわ」

「今は一刻を争うときです。軍の作戦しだいでバッハスとの勝負が決まるんだ、それほどの重大事なんです」

 きっぱり言うと上着を脱いだ。

 堰堤から水に入って行く。
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