逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 しかし、その夕方からデイズは熱を出した。
 心配した通り傷口から細菌が入ったのだ。

 ラナがつきっきりで看病していた。
 時間が経つにつれその顔色が青くなっていく。
 
「あなたは休んでちょうだい、交代で()ましょう」
 手を引いて立ち上がらせる。

 物陰に来たとき、
「父親は、だれなの」
 ズバリ聞いた。

「そのお腹ではもう産み月も近いんでしょう」

 ラナが息をのんだ。
 だが何も言おうとはしない。
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