逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 そんなとき、急にラナがうなり声をあげた。
 顔に脂汗が浮かんでいる。産気づいたのだ。
 洞窟は騒然となった。

 ラナがいる洞窟の隅にカーテンが引かれた。
 彼女を襲う陣痛は長く続いた。難産だった。

 ソフィーは侍女と共に、ラナとデイズの両方の看護にあたる。

 そのデイズがラナの苦しむ声に耳を傾けているときがある。
 え? と思った。

 陣痛は一晩中続き、早朝に産声が響いた。
 男の子だった。

 生まれた子をラナに見せた。
 しかし彼女は目を閉じたまま何も言おうとしない。
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