逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「なんだと!」
「彼はときどきこのラクレス領に帰って来ていたのよ」

 とデイズに、
「年貢を納めなさい。このかわいい赤ちゃんのためにも、生んでくれたラナのためにも。二人で力を合わせて育てていくのよ」

 デイズが赤ん坊を見た。

 真っ赤な顔をしたその子は、何かを掴むように手を伸ばしている。
 デイズがそっと手を添えた。小さな指がそれを掴んでくる。強い握りだった。
 彼の目元が赤らんでいる。

 ラナが声を上げて泣き出した。
 ソフィーがラナと赤ん坊を抱きしめる。

 ソフィーの手がデイズにも伸びる、三人を抱き抱えていた。
 いつの間にかソフィーも泣いていた。

 泣き笑いの顔で、彼らを抱きしめていた。
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