逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「公はこの手紙を、砦からの帰り道で読んでくれとおっしゃいました」
「帰り道で?」
「はい」

 そこにラクレス公の意図があったような気がした。

【ケイネ伯には極力注意をするように。そして将来は領地のラクレスをガイに頼みたい】
 箇条書きで淡々とつづられている。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                        

「私は一介のラクレスの臣下です。そんな領を治めるような身分ではありません」
 そう言うガイに、
「これは、ソフィー嬢も知っているのか、この手紙のことを」
「いえ、お嬢様にはまだお見せしていません。ご覧になったら悲しまれるだろうと」
 迷っているのだと言った。
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