逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 そして、後半には以下のことが書いてあった。
【私の跡継ぎは娘のソフィーのみだ。あの子のことが非常に気になっている。出来るならダン、君にソフィーのことも頼みたく思っているのだ】

 手紙はそこで終わっていた。
「・・ほう」

「これは本当のラクレス様のお気持ちだと思います」
 セルビィが前に出た。
「このガイは隊でもラクレス様の片腕と言われた優秀な奴で、公の信頼も厚いのです」

 アーロンはガイに、
「そして、君も? 彼女を意識しているのか」
「い、いや、その」
 困ったように視線を外す。その目元に赤みがさしていた。

 背後で、カタンと音がした。

 ソフィーが階段から降りて来ていた。
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