逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 ソフィーは書類に領主印を押した。
 それをガイに渡すと、
「だいたいは、わかっていました」

 テーブルの上にラクレス公の手紙があった。

「いろいろ大変な思いをさせてごめんなさいね」
「ソフィー様」
 ガイの声が微妙に揺れている。

 ソフィーは再び手紙に目を落とした。そして、
「それにしても、なぜ父はあなた達に砦へ行くように言ったのかしら」

 ガイは答えられない。
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