逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
匂いたつ花、そして
 ラクレス邸の玄関が開いた。

 明りが漏れてガイとセルビィが出てくる。
 二人は出発しようとしていた。

「ではお嬢様、どうぞお元気で」
「ガイ達も道中じゅうぶん気を付けてね」
 二人はうなずいて馬に乗った。

 その影が遠ざかって行く。
「よかったのか、あれで」
 アーロンが問うた。

 さっき、ソフィーはガイに言ったのだ。
「幼いときから一緒にいてくれてありがとう。私は兄弟がいなかったから、あなたのことは兄のように慕っていました。いつも側にいてくれて感謝しています。ありがとう」
 真からの笑顔を向けた。

 ガイはじっとソフィーを見た。
 そしてしばらくの後に、穏やかな微笑みを見せた。

「あなたにお仕えすることは、私の喜びです」
 再び臣下の礼を取って膝を折った。
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