逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
 ソフィーが目で問うた。
「この姿だよ。実は、俺は、あのアーロン・ハインツなんだ」
「え?」

「息子なんかじゃない、本人だ。事情があって、その、こんな姿になってしまっているが」
「・・・・」

「さぞ驚くだろうが、ワイトが、あのワイトが子供から青年になったんだ。それと入れ替わりに、あいつが俺の歳をとっていってしまったんだ」

 部屋は静まり返っていた。

 アーロンの顔を月が照らしている。その陰影に苦悩が浮かんでいた。
 長い間、そんな彼を見つめていた。

「なんとなく、わかっていました」
「え?!」
 二人の視線が合った。
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