逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「側にいて、その声を聞いていて、なんとなく・・そうじゃないかと」
 瞳がきらきらと輝いていた。
 それが一心にこっちを見ている。

「わかります、あなたは、アーロン様ですね」
 確信するように言う。

 アーロンの息が止まった。
 困ったように眉根を寄せた。ソフィーから視線を外した。
 唇を噛みしめて床を見た。

「戸惑っているんだ、こんななり(・・)になって、いきなり昔の自分に戻ってしまって、どうすればいいのかと」
 暗さが自身を浮き彫りにしたのか、訴えるような言葉だった。

 ソフィーは目を見開いた。

 そして、
「あなただわ」
「え?」

「間違いなく、アーロン・ハインツその人だわ」
「・・・・」
< 175 / 477 >

この作品をシェア

pagetop