逆境に咲いた花は、可憐に匂いたつ
「あの川べりで遠くから私を見ていたでしょう。暖炉の前で、じっと瞳を凝らしてこっちを見ていたわね」
「・・・・」

「暖炉はチカチカと燃えて、あなたのその目に暖炉の火が映って、すごく優しそうだった」

 アーロンがソフィーを見た。
 空間の中で視線が合った。互いに見つめ合う。

 アーロンはゆっくり手を広げた。おいでというふうにみえた。
 彼はあのときのように微笑みを浮かべている。

 ゆっくり近づいて隣に座った。

 ぎこちないそんな動きを、アーロンがじっと見ていた。
 それを意識して胸が大きく鼓動する。
< 176 / 477 >

この作品をシェア

pagetop